定量調査の定義・手法や定性調査との違いと手順・成功ポイント

定量調査とは

定量調査とは、数値をもとに調査・分析する手法です。調査結果は数値データなので扱いやすく、断定的な結論を得やすいというメリットがあります。会場調査やインターネットリサーチなど、市場調査(マーケティングリサーチ)において用いられることが多く、仮説の検証や施策の効果測定などに役立つ重要な調査手法です。本記事では定量調査の概要や主な5つの手法、実施手順や成功ポイントを解説します。

1.定量調査について知っておくべき基礎知識

定量調査は、数値をもとに調査・分析する手法で、さまざまな場面で役立つ調査手法です。ここでは定量調査の概要や定性調査との違い、定量調査のメリット、デメリットを紹介します。

1-1.定量調査とは

定量調査とは、観測・測定結果を数値データとして集計し、数や割合など数量で分析する調査・分析手法です。数値として具体的な結果が現れるため、市場調査(マーケティングリサーチ)や、仮説の検証、施策の効果検証などビジネスにおいて広く役立ちます。グラフやチャートなどにもしやすいため、直感的・視覚的に分析結果を把握する際に便利です。

1-2.定性調査との違い・使い分け

定性調査とは、言葉、心理、ビジュアルなどを用いる調査・分析手法です。定性調査の主な手法としては、デプスインタビューやグループインタビュー、エスノグラフィなどが挙げられます。

定量調査は数量を、定性調査は言葉のように数値化が難しいものを用いる点が大きな違いです。一般的に、定量調査は数値的検証で結論を出したい際に、定性調査は暫定的な仮説を抽出したい際に用いるというように使い分けられています。

1-3.定量調査のメリット

定量調査では、数値によって調査・分析するため、分析パターンが確立している場合は調査・分析を効率的に実施できます。また、結果が数値として現れるため、決定的な結論を出しやすい点もメリットです。例えば、複数の施策を比較する際、数値によって効果を計測することで、それぞれの施策の優劣を客観的に示すことができます。

1-4.定量調査のデメリット

分析手法が不適切であれば、せっかくのデータを活用しきれない点はデメリットです。アンケート調査の場合、設問設計や設問文、設問順やワーディングなどは回答に大きく影響しますが、適切な設定をしていなければ調査結果の正確性・信頼性が損なわれます。
また、質問の仕方についても、「どの歯磨き粉を使っているのか」をヒアリングするだけでなく、「誰が」と「いつ、どこで」という情報も得られなければ調査としては不十分ということもあるのが定量調査の難しいところです。「何を調査したいのか」を整理し、そのために必要な質問を逆算して組み立てていき、さらに分かりやすく質問することが欠かせません。

つまり、定量調査は、調査を企画・実行するスキルがあれば有用な反面、そうでなければ成果を得にくい点には注意が必要です。

2.定量調査の5つの手法と特徴

定量調査にはさまざまな手法があります。ここでは特に用いられることが多い5種類について、その手法や特徴を解説します。

2-1.訪問調査

訪問調査とは、調査スタッフが調査対象者(モニター)の自宅・オフィスを訪れて調査を行う手法です。現場では、調査対象者が実際に製品・サービスを使用している様子を観察したりインタビューしたりします。熟練した調査スタッフが現地で調査することで、消費者自身が気づいていないような行動パターンやニーズを発見することも可能です。

2-2.会場調査(CLT)

会場調査とは、「会場テスト」や「CLT」(Central Location Test)とも呼ばれ、会場に調査対象者を集め、アンケートや製品テストを行う手法です。調査スタッフが調査を進行し、その場で調査対象者の観察やインタビューを行うため、品質が担保されます。食品や飲料品など、実際に試してみなければ分かりにくい品物をテストしたい時や、同じ条件下でテストしたい時にも便利です。

2-3.インターネットリサーチ

インターネットリサーチとは、オンライン上で募集した調査対象者にアンケートを配信して回答を得る手法です。調査対象者の居住地域を問わず、スピーディかつ大量の調査対象者への調査が実現します。短期間で大量のデータを収集したい時に役立つ調査手法です。

2-4.郵送調査

郵送調査とは、調査対象者に対してアンケート票を郵送して回答してもらい、回答を返送してもらう調査手法です。調査対象者を居住地によって絞り込める他、会場を用意する必要がないというメリットがあります。また、調査対象者が好きな時に記入できるので負担を軽減できる点も特徴です。

2-5.ホームユーステスト(HUT)

ホームユーステスト(HUT、Home Use Test)とは、製品やサンプルを調査対象者に提供し、自宅で使用してもらった後にアンケートやインタビューなどで回答を得る調査手法です。実際の生活シーンで製品を試してもらうため、具体的な意見や感想が得られます。新製品開発や、商品の改良、販売戦略などにおいて説得力のある結果を得やすい手法です。

3段落.定量調査を実施する手順

定量調査を正確かつスムーズに実施するには、手順を知っておくことが大切です。ここでは定量調査を実施する3つのステップを紹介します。

3-1.調査課題・仮説を整理する

まずは、調査の目的や解決すべき課題などを整理した上で、「何を調査するのか」を明確化します。検証したい仮説がある場合はそれらを漏れなく洗い出すことも不可欠です。

定量調査の大まかな方針が定まった後は、検証・調査すべき項目を整理します。このプロセスは、調査対象者や調査エリア、調査手法などを決める土台となります。

3-2.調査手法を決める

次に、調査方針にもとづいて、調査手法を検討します。定量調査の中でも、例えば会場調査では回答者を一箇所に集める必要があり、準備期間もコストもかかりやすくなります。一方、ネットリサーチでは短期間かつ低コストで済むこともあるように、特徴はさまざまです。「どのくらいの期間やコストをかけられるのか」、「どれくらい正確性や精度を求めるのか」といった条件も意識して手法を選びます。

3-3.実査と集計分析を行う

そして、調査の実施、つまり実査のプロセスです。あらかじめ決めておいた調査対象者やサンプル数に沿って参加者をリクルーティングし、実査の日時を調整したり、必要に応じて会場を確保したりします。訪問調査や会場調査では、調査票にもとづいて調査スタッフが質問や、記入の案内を行います。

調査票を回収した後は、データの集計・分析です。クロス集計も用いながら仮説の検証、傾向の発見、課題解決策の導出などを行い、分析結果を報告書にまとめます。

4段落.定量調査の実施で成功するポイント

定量調査を実施する際は、いくつか意識すると良いポイントがあります。ここでは3つのポイントを紹介します。

4-1.適切な調査手法を活用する

調査では、期間やコストも重要ですが、仮説やテーマを正確に調査・検証できる手法を活用することが大切です。先述の通り、定量調査の手法は訪問調査、会場調査、ホームユーステストなどさまざまで、それぞれ長短があります。「調査テーマに合う手法はどれか」を意識しながら、最適な手法を選びましょう。より高い精度の調査結果を得たいなら、複数の調査手法を組み合わせたり、専門家にサポートを求めたりすることも有効です。

4-2.調査対象者を正しく選ぶ

定量調査で調査対象者を選ぶ際は、「目的の仮説やテーマを検証する上で、どのような調査対象者を集めれば良いのか」を意識することが大切です。例えばブランドの認知度を調査する際、「情報感度が高い層も調査に引き入れるのか」、「どのような基準で属性を絞り込むのか」などはあらかじめ検討しておく必要があります。

4-3.効果的な集計方法を用いる

データから役立つ仮説や優先課題を分析するためには、集計方法を工夫することも有効です。例えば、製品の印象や使い勝手を調査した結果、初めて目にした調査対象者からの印象は良いのに、既に類似商品を使ったことがある調査対象者はあまり良い印象を持っていない傾向が判明したとします。この場合、前者と後者をまとめて集計するのではなく、それぞれ集計結果を分けて分析してみると、リピート率アップにつながるヒントが発見できる可能性があるのです。

5段落.まとめ

定量調査とは、言葉や印象などを重視する定性調査とは異なり、数値をもとに調査・分析する手法です。仮説や施策の検証に優れており、結論を導く際の根拠を求める際に特に役立ちます。定量調査には訪問調査をはじめさまざまな調査手法があり、集計方法も豊富です。市場調査などビジネスで活用する際は、正しい手順やコツを意識することで、役立つ結果を得やすくなります。